出産のドタバタから落ち着き、暖かな日差しが注ぐ日曜。
兄は第二子を、庭に埋葬する準備。
ダニーの犬舎前、ホタル小屋にも近い場所。
日当たりの良い場所だ。
私も最期のお別れをする。
母も駈け付け、各々土を掬い、第二子を静かに土に還す。
土を追加した際の出来事だった。
近くにあった木の枝先で、左手甲を引っ掛ける。
見ると
ダニーが晩年残していった噛み痕の、丁度真上を通る傷ができていた。
あんまり、そういうの信じてはいないけれど
偶然にしては、出来過ぎている。
空を仰ぎ見た。雲一つ無い晴天。
「連れて行ったのだな。」私は勝手にそう解釈した。
(確かにチビを預かったぞ)のサインなのだと。
兄は、傍にあった形の良い石を洗い、墓標とする。
丸みを帯びた、優しい形。
これまで、存在さえ忘れながら
しかし、ダニーとホタルの一番近くに一緒に居た石。
第二子を守ってくれる事だろう。
線香を焚き、静かに手を合わせた。
ダニー、このおチビさんを頼んだよ。
おチビさん、この世で駆け回る事が出来なかったけれど
向こうで思う存分走り回っておいで。
頼もしいダニーさんが一緒だよ。仲良くね。
アチラで皆を待っていてね。