専用スペースのシート換えをしている間、スペース外でおとなしくしているナナ。
シート換えが終わり「終わったからハウスして。」と声を掛けるが、一向に入ろうとしない。
私が胡座をかくと『待ってました』とばかりに、ピョンと飛び乗って来る。
・・・ナナが幼い頃、よくこうして徹夜仕事したものだ。
黒ビロードの様だった口元も、白いものが大分目立つ。
今年9齢。
ナナの子供、見たかったな。
他のパグじゃなく、「ナナ」の子供を。
「子犬の時からイビキをかく、チンクシャ顔のパグがわらわら・・・」
賑やかであろう事は、想像するに容易い。
近所に男前のパグが居て、淡い期待もしたが
一昨年大病をして、ナナは「オバジ」になってしまったから、2世は決して拝めない。残念だ。
・・・ナナを抱きながら、そんな事を思っていた。
Madam Aが、ナナの好物「海苔」を手にやって来る。
ナナは目をひんむいて『クンクンクンクンクンッ』と海苔の香りを嗅ぎ、催促吠えをする。
Madam Aは、海苔を小さく千切りナナに与える。
ぱくつくナナ。
(上顎に海苔がくっ付くと大変なんとちゃうん?)
内心で思っていると、案の定、上顎に海苔がくっ付いてしまったらしく
頭を振るい、躯を振るい、私の胡座から飛び出てクネクネ歩きながら
前足を交互に口元へやる。
まるで踊っている様だ!
必死のナナには大変失礼だが、Madam Aと私は大爆笑。
「取れたの?」
落ち着きを取り戻したナナの口の中を覗くと、海苔は無事腹に収まったらしい。
懲りずにナナは、Madam Aに近付き、海苔にぱくつく。
そしてまた『海苔ダンス』を踊るのであった。
嗚呼、なんとユーモラスで、魅力溢れる犬だろう・・・。