早朝、犬が鼻を鳴らす声に目が覚める。
暫く耳を澄ませていたが、なお続く。
自室窓から、屋外犬居住区を見ると
ホタルは小屋から毛布を引っ張りだして、その上で眠っている。
音はダニーの犬舍から発せられている様だ。
上着を引っ掛けて、犬舍へ向かう。
こうして、夜泣きで様子を見に行く時は、いつも不安になる。
どうんな状態になっているんだろう?
酷い状態だったら、どうしよう?etc...etc...
しかし「私がしっかりと見なければならないのだ」と
腹を決め、奮い立たせ現場へ向かう。
一つ深呼吸して犬舍を覗くと
ダニーはやはり目覚めていて、鼻を鳴らしている。
私に気付いて、立ち上がろうとするが、立てない。
何だ?何がダニーに起きているのだ?
犬舍の中へ入ると、その原因が分かった。
繋留リードが後ろ足に絡んだまま横たわったため
身動きできなくなっていたのだ。
犬舍内のシートには、動こうともがいた様な痕跡があった。
絡まったリードを外し、足を撫でる。「大丈夫だよ」
暫く躯を撫で、様子を見る。
落ち着いたところで、歩行の状態を見る。
「おいで。立ってご覧ダニー。」
励まし、後ろ足を撫で、やる気を起こさせる。
「ほら、頑張って」
ダニーは踏ん張り、時間をかけて立ち上がる。
少しよろけはしたが、足はしっかり動いている。大丈夫だ。
リードが絡まった状態で伏せた、或いは転んだのか?
足もとが覚束なくなって来たジジ。
予測外の展開に、更なる工夫が必要だと腹を据える。
母も心配し、覗きに来る。
よろけながらも、母に近寄るダニー。
吃驚した辛かった(痛かった)だろうに
呼び鳴きするでもなく、まーるくなって鼻を鳴らしていたダニー。
我慢しなくてもいい。呼んで良いんだよ。